そんな彼の本気の気持ちを、踏みにじることができない。
だからといって、ご自由にどうぞなんてことも言えないし......
私は梓のことが好きで。
その気持ちはこれから先もきっと、変わることはなくて。
「中学の時は近づくことすら出来なかったから。今度こそ、本気でぶつかりたいんです。それでも香澄先輩の気持ちが変わらなかったら、その時はしっかり身を引きますから。」
そんなご丁寧に自分の気持ちを伝えて......
「で、でも、それはきっと、ぶつからなくても私の気持ちは、彼一筋だから.....」
「でも、まだわからない。先輩は俺と今初めてちゃんと話して、俺という存在を知りました。ほん少しでいいんです。俺もちゃんと、心から先輩のことを想ってるって、知ってほしい。」
そ、そんな、捨てられた子犬みたいな顔でこっちを見つめないでよ....
こんな状況初めてだから、どうしたらいいかわかんないよ。
何も言えなくなり、俯いていると。
「おい。俺の大切な香澄ちゃんになんの御用?」
そんな声が後ろから聞こえた。
振り向かなくても。
顔を見なくてもわかる。
梓だ。
振り返ると、少し不機嫌そうな顔でこちらに向かってきた。
「もしかして、この方が?」
と、私の顔を見る滝川くん。
「え、あ、そう。彼氏の梓。」
私が梓を紹介すると、ペコリと頭を下げ、
「1年の滝川葵です。」
と、自己紹介をした。

