美華には一瞬の隙すら見せられない。
「黒河、おめでと!」
「さんきゅ。」
「あずくん、お幸せにね。」
「おう!」
ふたりから声をかけられて梓もどことなく嬉しそうな表情。
美華も、凛ちゃんも。
たくさん、ありがとう。
ふたりがいてくれなかったら、きっとここまでこなかったと思うから。
本当に、ふたりのおかげ。
梓はカバンを置きに自分の机に戻って行った。
「本当、思った通りのお似合いっぷりだわ!」
なんか、そう素直に褒められると照れくさくなる。
私なんかが梓の隣に.....って考え始めたら終わらなそうだから考えないけど。
きっと、美華や凛ちゃんがそう言ってくれるから自信もっていいんだよね?
なにより梓の気持ちに、言葉に嘘はないと思うから。
私はそう信じるから。
「見てるこっちが幸せな気分になれるよ!」
「お、おおげさだよー!」
そう、口では言ってみるものの。
ふたりがそうやって言ってくれるの、すごく嬉しいな。
未だに夢みたいだもん。
告白したことも。
付き合い始めたってことも。
まだ実感がわかない。
きっとしばらくは、今までの延長みたいな関係が続くんだろうなあ。
でもこれから何があっても。
時には美華や凛ちゃんの力も借りつつ、梓とふたりで乗り越えていけたらな、なんて頭の片隅で考えていた。