【完】恋なんてするものか!






そういって、玄関の外まで見送りにきてくれた。




「本当に、送っていかなくて大丈夫か?」




「うん!大丈夫!ありがとう。」




「わかった。じゃあ気をつけてな!」



梓に手を振り、歩き出す。




「あ!待って!!」



後ろから声が聞こえ、振り返ると私の元まで小走りでやってきた梓。




私の耳元に口を寄せると、




「これから、俺の彼女として、よろしくな。」




そう囁くと、ポンと頭に手をのせた。




恥ずかしくて、顔が赤くなったけど。



それ以上に嬉しくて。



満面の笑みで頷いていた。




きっと、誰よりも遠回りした。



梓にという人間を受け入れることにも。



自分の気持ちを受け入れることにも。



自分の気持ちを伝えることにも。




たくさん考えて、たくさん悩んで、たくさんの時間をかけた。




伝えたいことはなかなか言葉にできなくて。




逆に思ってもないこと言っちゃったり。




遠回りしてすれ違って。



だからこそ分かったこともあって。




だからこそ想いが繋がったときの嬉しさはとても大きくて。




梓に出会えたから、幸せな気持ちも、胸が張り裂けるくらい辛い思いも知ることが出来た。




梓に出会えたから、少しだけ自分が変われた気がする。




梓には感謝しかない。



たくさんのありがとうを伝えたい。




私は軽い足取りで家まで帰った。