【完】恋なんてするものか!






「よかった。俺、本当に香澄のことになると自信ない。」




「自信持ちなさいよ!私はちゃんと........」




本当は、言おうか迷った。




恥ずかしいし。



でも、伝えないで後悔したくない。




たとえ素直じゃない性格が一生直らなくても。




本当に言わなきゃいけないことは、隠しちゃダメだ。





「心の底から梓のことが好きだよ。」




たくさん遠回りしたからこそ。




たくさんもどかしい思いをしたからこそ。




今日くらい。



今、この時くらい。




心で思ってること、伝えようかな、なんて。




「そっか。本当、ありがとう。俺も、心の底から香澄のことが好きだよ。」




そう、お互い気持ちを伝え合い。




もう一度、唇を重ねた。



一瞬触れて、離れる。



梓の顔を見たら、とても穏やかな気持ちになって笑みが零(こぼ)れた。




なんか......とても幸せな時間。



心が温かくなって。



このまま時間が止まればいいのに。




「そろそろ、暗くなるし送っていくよ。」




「いいよ!ひとりで帰れる。」




「薄暗い中、ひとりで帰すわけないだろ?」




「でも、また戻ってこなきゃいけないから!なんかあったら連絡するし!本当、大丈夫だよ!」




「そうか?じゃ、玄関まで。」