梓の部屋にふたりきり。
甘い空気が流れている。
梓に至近距離で見つめられて。
少女マンガのようなセリフ。
私の頭の中は、もう思考回路がストップしていた。
「嫌われたくないから、さ。もし本当に嫌なら、断ってほしい。」
「う、うん....」
「今、無性に香澄にキスしたい。」
「....」
私の頬を、右手で包む。
温かい梓の手。
少しずつ、近づいてくる梓。
スローモーションみたいに。ゆっくり。
私の視線を独占して。つかんで離さない。
きっと.....
前の私だったら.....断っていたと思う。
強がって、照れ隠しするのが精いっぱいで。
断ってもきっと、またチャンスはくるって思って。
だけど.....今は違う。
恥ずかしいことに変わりはないけど。
でも、私も.....このまま梓とキ、キスしたいって.....
思ってる。
「可愛い.....」
そんな甘い声で囁かれたら....
「香澄....好き.....」
この甘い空気の中そんなことを好きな人に言われてしまったら。
誰だって......
唇が触れる直前。
小さく。
「私も.....」
そう呟いた。
そして、お互い目をつむって。
優しく、唇が重なる。
少し、唇が離れた後、
「知ってる。」
梓は特に驚くことなくそういい、再び私の唇を奪った。
時が、止まっているみたいな感覚。
角度を変えて、何度も。何度も。

