「じゃ、また放課後な。」
自分の席に戻っていく梓。
誘ってくれた。
内心、不安もあった。
何事もなく今日一日が終わってしまうんじゃないかって。
私がチョコあげたことなんて忘れてるんじゃないかって。
だけど違った。
「顔、にやけてますよ~?」
「うそっ?」
「耐えてるのバレバレ。」
は、恥ずかしっ!!
にやけているつもりは無かったんだけど。
「香澄って、こんなに分かりやすかった?」
「知らないよ.....」
私だって無意識だったし。
でも無意識にニヤケてたなんて余計に恥ずかしい。
放課後.....一緒に帰るんだ。
別に何度も一緒に帰ってるし、普通だったら特別なことなんてないんだけど。
でも今日はいつもとは違う。
たかがホワイトデーかもしれないけど。
私にとっては少し特別で。
嫌でも胸が踊ってしまっていた。
「大好きなんだね。黒河のこと。」
「ちょ、やめてよ!!」
「や、真面目にさ。」
と、私の目を見ながら美華は言う。
「冗談抜きで。黒河のことになると必死になって。素直じゃないけど心で思ってることはバレバレだし。でも私でもわかるよ。黒河のことが本気で好きなんだってさ。」
な、なんか.....
そんなことを真面目に言われたらなんて返したらいいのかわかんないよ......