『まあ、香澄らしいといえば香澄らしいね。だけどそろそろもうちゃんと黒河の気持ちに応えてやりなよ。』
あれから家に帰り、夜になると案の定、美華から電話がかかってきた。
私は凛ちゃんとのことも、梓との出来事も全部、美華に話した。
『凛ちゃんのことも考えて、ちゃんと自分の気持ち伝えて、黒河と恋人同士になっちゃいなさい!』
と、美華に言われた。
そう、だよね.....
自分の気持ち押し殺してまで私の恋を応援すると言ってくれた凛ちゃん。
そんな凛ちゃんの気持ちをムダにしない為にも、私はしっかり自分の気持ちを梓に伝えなきゃいけない。
そう、頭ではわかってるんだけど。
簡単にいかないのが現実であって.......
つくづくダメな人間だな、と思う。
きっとこういうのって、自分できっかけを作らなきゃいけないんだろうけど。
タイミングを待ってしまっている自分。
いつになるか分からない、自分の気持ちを伝えるタイミング。
こんなことを繰り返していたら前に進めないどころか、取り返しのつかないことが起きてしまう。
それからというもの、梓のスキンシップは今まで以上にエスカレートしていた。
一瞬、梓と凛ちゃんが付き合っているという噂が流れていた。
しかしそれは瞬く間に凛ちゃんから私へと変わった。
そりゃそうだろう。
毎日、毎休み時間私の机に来ては話しかけてくる。
私は、バレンタインの日から凛ちゃんも入れて3人でいることが増えた。
前までは美華にからかわれていたが、今では凛ちゃんまでもが、私をからかう始末。