「俺の力で、香澄のこと、振り向かせられるかなんて正直、自信はねーけど。」
出会った時から自信たっぷりで。
自分勝手でナルシストで。
失礼なことは言うし、勢いでどんなことだってするし。
散々な目に遭ってきた。
「それでもやっぱり、俺は香澄じゃなきゃダメなんだよな。香澄のことになると自信も余裕もなくなる。かっこ悪いとこ見せたくなくて、ずっと隠してきたけど。」
こんなやつの思い通りになんて、絶対ならないって。
私はほかの女とは違うって。
ずっと言い聞かせてきた。
だけどもう気づいてしまったから。
あと戻りなんて、できなくなってしまったから。
「もう俺、そろそろ待てない。本気で、今すぐにでも香澄のことがほしい。」
ああ.....
私はとことん幸せ者だね。
こんな私のことを、そこまで想ってくれるなんて。
「自分勝手だって俺もわかってるけど。でも、もう遠慮しなくてもいい?」
こういうときばっかり、自分の悪いところ認めるなんて。
そんなの、ズルい....
私は、首を縦に降ることも横に振ることもできなかった。
「ごめん。香澄がダメって言っても、俺もう我慢できねーから。
だから、香澄が本気で俺を嫌いなら。
その時は......ちゃんと断ってくれよ。じゃなきゃ俺、ずっと香澄のことを追い続けるから。香澄の中に俺以外の男がいても、見て見ぬふりしちまうから。」
ここまで言ってくれてるのに。
何ひとつ言葉をかけられない自分にとことん嫌気がさす。

