【完】恋なんてするものか!





「俺の力で、香澄のこと、振り向かせられるかなんて正直、自信はねーけど。」




出会った時から自信たっぷりで。




自分勝手でナルシストで。




失礼なことは言うし、勢いでどんなことだってするし。




散々な目に遭ってきた。




「それでもやっぱり、俺は香澄じゃなきゃダメなんだよな。香澄のことになると自信も余裕もなくなる。かっこ悪いとこ見せたくなくて、ずっと隠してきたけど。」




こんなやつの思い通りになんて、絶対ならないって。




私はほかの女とは違うって。



ずっと言い聞かせてきた。




だけどもう気づいてしまったから。



あと戻りなんて、できなくなってしまったから。





「もう俺、そろそろ待てない。本気で、今すぐにでも香澄のことがほしい。」




ああ.....



私はとことん幸せ者だね。



こんな私のことを、そこまで想ってくれるなんて。





「自分勝手だって俺もわかってるけど。でも、もう遠慮しなくてもいい?」




こういうときばっかり、自分の悪いところ認めるなんて。



そんなの、ズルい....




私は、首を縦に降ることも横に振ることもできなかった。




「ごめん。香澄がダメって言っても、俺もう我慢できねーから。

だから、香澄が本気で俺を嫌いなら。


その時は......ちゃんと断ってくれよ。じゃなきゃ俺、ずっと香澄のことを追い続けるから。香澄の中に俺以外の男がいても、見て見ぬふりしちまうから。」





ここまで言ってくれてるのに。




何ひとつ言葉をかけられない自分にとことん嫌気がさす。