そうよ、私はあいつが勝手に期待してるから。
その期待を裏切らないように、優しーーい心で作ってあげるだけ。
告白がどうだろうと、関係ない!
そう、その意気よ、自分。
告白だろうがなんだろうがかかってきなさいよ!
「気をつけて帰るんだよ?事故とか嫌だからね。」
「ありがと、また明日ね!」
美華とわかれて間もなくだった。
「香澄ちゃん!追いついた!」
後ろから凛ちゃんの声が聞こえてきたのは。
振り返ると小走りで私の元へやってくる。
「帰り話そうと思ってたんだけど先生に呼ばれちゃって!よかったー。」
走ってきたせいか、少し息があがっていた。
凛ちゃんには悪いけど、本当は今、ふたりきりにはなりたくなかった。
今日はひとりで音楽聞きながら帰りたかったのにな。
申し訳なくて、本人にそんなこと言えず、結局ふたりで並んで歩く。
「今日、元気なさそうだったけど大丈夫?体調崩したとか?」
「え?ううん、大丈夫!元気だよ。」
ふたりで会話するのが少し気まずい。
頭をよぎるのは明後日のバレンタイン。
凛ちゃんが梓に告白する。
ふたりは恋人同士になるのかな。
「告白って、どうやったらいいのかな?」
「どうって?」
「ほらー、なんて言えばいいのかなあ?って。告白なんてしたことないから!」
幼なじみで、小さい頃から一緒にいたけど。
梓への恋心を本人に伝えるのは初めてだもんね。
だけど、私も告白なんてしたことないし。
「私もしたことないから、わからないや。」
「そっかー。明後日のこと、考えただけでドキドキしちゃうよー。」
「そ、そうだよね。告白するのって緊張しそうだもんね。」
凛ちゃんの話をちゃんと聞いてあげたいと思う反面、早く終わってほしいとも思ってしまう。

