梓は『本気だけどな。』と、私に耳打ちして席に向かっていった。
あ、あんなの、反則じゃんか......
再びドキドキと胸が鳴り始める。
もう、自分の気持ちも後戻り出来ない。
だけど、凛ちゃんに発した言葉も消すことはできない。
ややこしくなってしまった。
あの時、変なこと考えずに「実は私も...」って言っておけばよかった。
恋のことになると臆病だ。
梓が関係していることにはすべて臆病になってしまう。
「もうすぐでくっつくと思ったのになあ。」
美華はやれやれといった感じでそう言った。
そんな事言われても.......
「とりあえず今は、黒河くんの気持ちが離れていかないようにしっかり掴んでおくこと!」
美華は握りしめるポーズをしながらそう言った。
離れていかないように、か......
どうしたら離れていかないの.....?
あんな美人さん相手に、私なんかが梓の心を掴んでおくことなんてできる?
.....あー、ほらまた弱気だ。
「香澄、弱気になればなるだけ黒河くんの気持ちが離れるって思った方がいいよ!」
私の心の中を読み取ったのか美華が言った。
弱気になるだけ、梓は離れる......
そう考えたら、もう強気でいるしかなかった。
たとえ相手が凛ちゃんでも。
自分の気持ちはしっかり持ってないと。

