年明け1月上旬。
ざわざわと騒がしい教室。
いや、いつも騒がしいんだけど。
今日はなんか、みんなソワソワ?してる。
その違和感は教室に入った瞬間わかった。
「美華、おはよ。」
私より早く登校していた美華に声をかける。
「あ、香澄!おはよ!」
「ねえ、なんかあるの......?」
何も無い雰囲気では無い。
「なんか、転校生?がくるらしいよ?」
「転校生?」
この時期に?珍しい。
それでみんなソワソワしてるんだ。
「このクラスに、ってこと?」
「うん.......らしい。詳しくは分からないんだけど。」
そう、なんだ。
きっとみんなどんな子がくるのか、気になってるんだろうな。
高校で転校生なんてあんまり聞かないし。
朝のホームルーム。
先生と一緒に1人の女子生徒が入ってきた。
その女子生徒を見るなりみんなその子に釘付けになった。
それは私も同じで。
「なによ、あの美人は.......」
「人形みたい......」
誰もが目を疑うくらいの美人で。
すらっとした体型に、少し茶色がかってウェーブした髪。
どこかの人形なんじゃないかって本気で疑うほどだった。
「えー今日からこのクラスで一緒に勉強することになった栗原凛(くりはら りん)さんです。」
「栗原凛です。今日から約1年よろしくおねがいします。」
ペコりと頭を下げる栗原さん。
おしとやかで、とても澄んだ綺麗な声。
立ち振る舞いも大人っぽくて、女の子らしい子だ。
みんなザワザワしてる。
口々に『可愛すぎるだろ。』とか『美人すぎて何も言えない。』とか。
女の子も男の子もその美貌に魅了されていた。
ちらっと、気になってしまったのはやっぱり梓で。
左斜め前の彼に目線を移すと、みんなとは違う反応をしていた。