【完】恋なんてするものか!







いつも余裕ぶってるから。





それがむかつく原因のひとつでもあったんだけど。






梓も私にドキドキしてくれるんだな、って。







「そうやって、素直な香澄のほうが可愛いよ。」







私の体を抱きしめながら、梓は言う。







「まあ、強がりで意地っ張りなとこも香澄のいいところなんだけどさ。」







悪かったわね。






強がりで、意地っ張りで。







「でも、俺の前で強がるの禁止ね。なにも我慢しなくていい。言いたいこと、やりたいこと。俺の前では全部出して。俺がしっかり受け止めるから。」







高校生とは思えないくらい大人な発言。






感心してしまうくらい。






そんな言葉、生まれて初めてもらった。






特に男子からそんな優しい言葉をもらうことなんて滅多にない。







嬉しさでどうにかなりそう。







「前も言ったけど、俺本気だから。」






うん........もう、分かってるよ。






私のこと、本気で思ってくれてるんだって。






少し前から、心のどこかで思ってた。






認めたくないって、ずっと考えないふりしてた。




逃げてたけど。







私はもう、気づいてしまったんだ。






彼の本気の気持ちに。






そして、自分の心の奥で眠っていた気持ちに。






今の私の行動が、この胸の鼓動が、証拠でしょ?







「香澄と、ずっとこうしてたい。」







「うん.........」






私もだよ、なんて言葉は今はまだ胸の中にしまっておくね。






いつか、時が来たら。




ちゃんと伝えるから........






それがいつか、なんてことはわからないけど。






でもまだ、心の準備ができてない。