無言の時間が続いた。
お互い、手をつなぎながら何も話さずただその息を呑むほど綺麗な景色に見入っていた。
どのくらい時間が経っただろうか。
「香澄。」
そう、隣から静かに声が聞こえた。
「なに?」
梓の方を向くと、梓も私の方を向いていた。
そして、両手を広げ、
「おいで。」
そう言った。
いつもなら、断ってた。
そんな関係じゃないし。
上から目線でむかつくし。
あんたとハグなんてするわけないでしょ?って。
でも、この綺麗な空間がそういうムードを作っているのだろうか。
ただ私は無言で頷いて、ゆっくり梓の腕の中におさまった。
手を繋いでいただけの時とは比べものにならないくらい温かくなる体。
私の体を抱きしめる梓に、私も腕を梓の背中に回し、キュッと軽く力を入れる。
ドキ、ドキ、ドキ........
さっきより少し早くなった心臓。
「ドキドキしてる?」
「.......う、うん......」
見事に梓にバレていた。
ま、まあハグしてるし仕方ないことなんだけど。
ドキドキしてるのバレるって、結構恥ずかしいな。
でも。
「俺のもわかるでしょ。」
「ふふ、うん.....」
私と同じくらい、梓の心臓もドキドキしてて。
ああ、私だけじゃないんだなって。
そう思ったらなんか安心した。

