「べ、別に結構!」
「その割に、顔は抱きしめて欲しいって顔してるよ?」
「.......っ。」
少し眠気が襲ってきたからだろうか。
無性に梓に甘えてしまいたいと思ってしまう。
もう一度、抱きしめて欲しいって思ってる。
「ちゃんと言えたら、抱きしめてあげるよ。」
俺様で、上から目線で、めちゃめちゃ勝手なこと言ってるのに。
誰も抱きしめて欲しいなんて、一言も言ってないのに。
梓の勝手な思い込みで言われてるのに。
「俺に抱きしめられて、気持ちよかったの?」
「.......ん。」
「もういっかい、抱きしめてほしい?」
「........うん。」
なんで、こいつの言う通りになっちゃってるんだろう.......
「ふっ。よく言えました。ほら、おいで。」
梓はその場で両手を広げた。
私はゆっくり、広げられた腕の中に入った。
ギュッと、梓の腕が背中に回ってくる。
私も軽く、梓の背中に手を回した。
梓の腕の中で目を閉じる。
このまま本当に眠りについてしまいそうだ。
誰かに抱きしめられる温かさなんて知らなかったから。
こんなにも、温かいんだね。
親に抱きしめられるのとは、また違う温かさ。
「好き。」
「ぇ........」
「香澄が好きだよ。」
「.......っ、う、うん.......」
あ......危ない.......
こんな自然な流れに任せて、危うく「私も。」なんて、とんでもないことを言いそうになった。
「あんまり待たせると、力づくで奪っちゃうよ?」
「........うん......」

