広場に近づくにつれて、少しずつ心拍数が上がっていく。
誰にも見つからないか、周りをキョロキョロしながら広場に向かって歩く。
食堂前の広場には大きなソファーがいくつか置いてあり、そのひとつに人影。
「ちゃんと来たな。」
私の足音に気づいたのか、振り返って満足そうに笑う梓。
あんたが変な封に脅すから、来ざるを得なかったんでしょ!?
「ここ、おいで?」
自分の座るソファーの隣を叩きながら、立ってる私を見上げる。
梓は座ってるのに私が立ってるのも変かな?と思い、言われたとおりに隣に座る。
寝間着を着た梓。
見慣れない姿に、人気がいないところで二人きり。
嫌でもドキドキしてしまう。
「香澄の髪の毛、サラサラ。」
私の髪を撫でながら、梓は言う。
優しく撫でるその手に、不覚にも心地よいと思ってしまった。
その手に撫でられながら、そのまま眠りにつけそうなくらいに。
「お風呂上がりって、なんかエロいよな。」
「バカなこといってんじゃないよ。」
「香澄、すげーいい匂いするし。」
顔を近づけられ、ドキッと胸が高鳴った。
「ち、近いって!誰かきたらどうすんの!」
ただでさえ、消灯時間過ぎてるのにこんなところ誰かに見られたら怒られるどころじゃ済まない。
しかし梓は余裕の笑み。
「平気だよ。誰もこねーよ。」
どこから湧いてくるのよ、その自信は。
私はひやひやしてるっていうのに。
「ね、抱きしめていい?」
「はあ?ダメにきま...「ま、なんて言おうと抱きしめるけどね。」
私の言葉を最後まで聞かず、梓は私のことを抱きしめてきた。
「ち、ちょっと!ダメだって!」
小声で抵抗する。
大声なんて出せないし。
だけど、そんなことで離してくれるはずはなくて。
「んな、ビビんなくても平気だって。」
そう言いながら、私の背中をトントン同じリズムで叩く。

