だって、梓が私のことを見つめるから。
きっと、目をそらしても自分の方に向けるだろうから。
だからあえてずっと目を合わせていたのに。
「その顔俺には、キスしてって顔に見えんだけど?」
「ち、違う!そんなわけない!」
「ちっ。なんだよ。」
舌打ちをするな。
だいたい付き合ってもないのにキスなんて、考えられない。
恋人同士になって、ある程度と気を重ねてするものでしょ。キスっていうのは。
「本当にダメ?」
「だ、ダメなものはダメ。」
そんな潤んだ目で私のことを見つめたって、騙されないんだからね?
「いいじゃん。俺、この可愛い唇ほしい。」
「き、キスは....だめ!まだダメ!」
「ふーん。“まだ”だめ。ねぇ。ということは、いつか許すときがくるってことだよな?」
ニヤっと笑いながら私にそういう。
まずい、余計な事言ったかも.......!!
思わず口走ってしまったけど、それを聞き逃さなかった梓。
「いや、それは....だから.......」
「そういうことだよな?それならその時まで待ってやるよ。」
見事にドヤ顔しながら言い放つ。
待ってやる、とかどれだけ俺様よ。
と、とりあえず今は切り抜けられたってことで、セーフ?
梓は「でも......」と続ける。
「もしその時がきたら、覚悟しとけよ?」
そう、甘い声で耳元で囁いたのだった。
爆発したかのように顔が赤くなっただろう。
私の軽い発言のせいで、未来まで危険にさらされてしまった。
で、でもこれから先も許さなきゃいい話。