甘えたように。
私にずっと質問を投げかける。
「俺のこと、好きじゃないの?」
「う、うん......」
「じゃあ嫌い?」
「......いや......嫌いって、わけでは.......」
「じゃあ好きなんじゃん?」
どうしよう。
完璧に梓の流れに持っていかれてる。
「香澄がほしい。俺だけの香澄にしたい。」
当然、今まで生きてきた中でそんなセリフ言われたのは初めてで。
もうどうしたらいいのか。
ずっと私を見つめる熱いその視線に。
全部飲み込まれてしまいそう。
「香澄の初めて、全部俺にちょうだい。初めての彼氏も、デートも。初めて手つなぐのも、ハグも、キスも、その先も全部。俺にちょうだい?」
ああ。この空気をどうしよう。
胸のあたりがキュってなる。
「俺、もう本気で香澄しか見えない。香澄がいればそれでいい。」
この胸の温かみは何なんだろう。
ポカポカと温かい。
恥ずかしさと、嬉しさと、戸惑いと。
たくさんの感情がグルグルしてる。
「俺は香澄を信じる。だから香澄も俺を信じて。今までのこと、忘れろなんて言わない。香澄に信じてもらえるようにするから、今の俺を見て。」
すがるように私に言う。
私は何も言えずに、ただ梓の目を見ていた。
こういう時、なんて言うのが正解なんだろう?
今までこんなことになったことなかったから、分からないことしかない。
何か言うべきなのか、言わないべきなのか。
「ったく、そんな目で俺を見つめて誘ってんの?このままここで襲っちまうぞ?」
「は、はあっ?」
誘ってるって、どこに?
私変なことしてます?