だけど......
この空気が嫌じゃないのはなんでだろう?
顔は近いし、顔から火が出そうだし、心臓は飛び出そうだし。
なのに、嫌な気持ちはない。
「照れてるの?」
「........っ.......ぅん.......」
私は、小さくゆっくり頷いた。
「ふっ、可愛すぎ。」
先程よりも近くなる顔。
もう、鼻と鼻がついてしまいそうだ。
梓の息が顔にかかるのがわかる。
「なんで照れてるん?俺と目合わせてるだけなのに?」
そんな梓の問いかけに何も言えなかった。
だって、私でもわからない。
なんで梓と目が合っただけであんなに心臓が飛び跳ねたのか。
不意に目をそらしてしまったのか。
「なんかやらしい想像でもしちゃったの?」
「ち、違うよっ!!」
そういう妄想してんのはあんたの方でしょ!
私まで一緒にしないでよね!!
「じゃあどうしたの?」
「わ、分からないよ.......私だって.......」
「意味もないのにドキドキしちゃったの?」
「っ..........う、うん........」
「ふーん。」
ニヤニヤと楽しそうな梓。
何が楽しいのよ!
私は今だって心臓バクバクで、体に力すら入らない状態だっていうのに。

