「とりあえず座るか?」と、梓の言葉で私たちは中庭にあるベンチに腰を掛けた。
隣に座った梓は私の手の上に自分の手を重ねた。
しばらく沈黙が続き、その沈黙を破ったのは梓だった。
「何も、されてないか?」
「う、うん......さっきは、本当にありがとう。」
「そんなお礼言われるようなことしてねーよ!妙に素直じゃん?今日は。」
と、私の顔をのぞき込む。
梓と目が合った瞬間、心臓が飛び跳ねた。
フイっと梓から目をそらす。
「あれ。もしかして照れてる?」
フルフルと首を横に振る。
な、なんでだろう?
目が合っただけなのに。なんでこんなに胸がドキドキしてるんだろう?
「こういう時も素直になれよ。」
私の顎を持ち上げ、自分の方に向ける。
自然と梓と目が合ってしまう。
「俺、もっと香澄のこと知りたい。」
そんな甘い声で。
そんな熱い視線で。
惑わさないで。
息をするのも忘れてしまいそうなくらい甘い空気。
「だからもっと、香澄を教えて?」
ダメ.......頭がクラクラして、思考回路がストップしてしまう。
言いたいことすら考えられない。
ただ、梓の目を見つめることしか出来ない。
梓も私から目をそらすことなくまっすぐ見つめる。
ドキドキしすぎて心臓が飛び出てきそう。
「もっと色んな香澄を見たい。俺だけに見せる姿を増やしたい。」
「.......っ」

