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始業式の日は午前中で終わり。
ホームルームを終え、私たちは放課になった。
いつも通り美華と校門でわかれ、イヤホンをさして帰ろうとしたところだった。
「どーも!」
と、耳につくような声が聞こえてきたのは。
声の方に目を向けると、見覚えのある女子が立っていた。
記憶をフル回転させて、この人は以前教室で梓とキスをしていた人だと思い出す。
彼氏がいるのにも関わらず、梓とキスしてた人。
「えっと.......なにか?」
そんなあんたが私になんの用?
まあ、なんとなく梓絡みのことだろうと想像はつくけど。
だけど別に私はあなたに何か言われるようなことをした覚えはないし。
「香澄ちゃん、だよね?」
馴れ馴れしく“香澄ちゃん”なんて言われてイラッとくる。
なんだろう。
別に他の子ならいいんだけど、こいつのこの小馬鹿にしたような態度がなんか嫌だ。
「私、隣のクラスのミナって言うんだあ!」
「どーも。」
特に聞いてもいない自己紹介をされ戸惑う。
それで、私に何の用?
もちろん私の方が身長が高いから、ミナが私のことを上目遣いで見上げている状態で。
自分のことを可愛く見せる方法を知ってるなあ、なんて感心してる場合ではないんだけど。
男子からしたら、これが可愛いんだろうな、って心の中で思った。

