私なんて、バイトすらしたことないのに。
「本当は香澄と夏祭りとか行きたかったけどな!」
「美華と行くから~!」
「ちぇ。」
「そっちも毎日海とか羨ましい。」
「あちぃし、毎日いるとそうでもねーよ?」
他愛のない会話が続く。
普段通り。
何となくだけど、胸がほっこりする。
「なあ。」
「んー?」
「今日のあの言葉、期待してもいいのか?」
「あの言葉?」
いきなり真面目トーンになる梓。
「好きだなんて認めない、てやつ。」
「.......っ」
「それって、気持ちは気づいてるけど認めないってことでいいのか?」
「........そんなこと言ってないし!」
「都合悪いとしらばっくれるのかよ(笑)」
せっかく忘れていたのに、蒸し返すようなこと言わないでよね.......
あの時のあの発言は、私でもよくわからないし。
「期待すんな、バカ!」
「はいはい。」
呆れたように頷いてくれた梓。
梓に抱きしめられた時のことが頭の中で蘇ってくる。
温かい梓の温もり。
心臓の音。
........や、やめよ。
考えたら顔があつくあなってきた。
あれは、夢よ。夢。
きっと暑さのせいでどうにかなってたんだよ。
なんて、無理な想像をする。
「ていうか、パーカー、持って帰ってきちゃった!」
そう言えば、梓に着せられたパーカーをそのまま返せずじまいだった。
「あー、2学期になったら返してくれればいいよ。別に、そのまま香澄のものにしてもいいし。」
「いや、それは申し訳ないから夏休み明けに返すね!」

