梓の顔を見ると、断念したのかさっきまでのしつこさはどこに行ったんだというほどさっさとその場をあとにしていった。
..........き、気まずすぎる!
ふいに二人きりになってしまった。
お礼を言わなきゃいけないんだろうけど、そんな空気じゃない!
ひとりでどうしようかあたふたしていると、フワッと上半身が温かくなった。
「お前、無防備すぎ。これ絶対脱ぐなよ。」
と、自分が来ていたパーカーを私にかけてくれた。
程よく筋肉のついた梓の上半身が目の前に現れた。
目のやり場に困って、目が泳ぐ。
そんな私の姿に、いじわるスイッチが入った梓は私をそのまま正面から抱きしめた。
「そういう反応は反則だから。」
「な、なによ!さっきはヒソヒソ私のこと仲間はずれにしたくせに!」
素直じゃないなあ。私。
仮にも助けてくれた人にいうセリフではない。
「ナニ。妬いた?」
「........バカなこと言わないで。」
「お前の水着姿、可愛すぎ。俺以外の男に見せてんじゃねーよ。だからもう、このパーカー脱ぐの禁止。」
と、抱きしめたまま、耳元で囁かれる。
「耳まで真っ赤。香澄のそういう反応、嫌いじゃない。」
「ひゃっ......!?」
パクっと耳を軽く噛まれた。
いきなりのできごとに、間抜けな声が出る。

