私は、梓の肩を両手で押した。
あっさりと、私との距離が開いた。
いつもみたいに、腕でも掴まれて制御されるのかと思ったら案外あっさりで、戸惑う。
これがきっと、私と梓の心の距離なんだ。
離れようと思えばいつでも離れられる。
「俺が嫌い?」
「き、らい.......」
「本当に?」
「うん。」
「キスしてもいい?」
「だ、だめ......っ......」
「その割には、顔真っ赤だね?」
私の頬を、梓の大きな手が覆う。
顔が熱い。
ダメなのに。距離を置くって決めたのに。
なんでこうやって私を解放してくれないの?
「早く、嫌いなら俺を突き放せば?さっきみたいに。」
そう言って、ぎゅっと私の体を抱きしめる。
本当は、突き放したいのに。
きっと突き放すことが正解なのに。
体に力が入らない。
「あれ、突き放さないんだ。」
意地悪そうに、梓は私に言う。
早く。突き放さなくちゃ。
ここで突き放せばきっと、こいつと関わらなくてすむ。
私は下に下がってる手に力を入れた。
そしてゆっくり............
梓と自分の体に距離を作った。

