「小さい頃、近所に住んでた男の子。たまたま高校が一緒だったの。それで?それを聞いたところで何?あんたに関係ないでしょ!」
早口でそう言った。
イライラが募る。
お願いだから、早く私の目の前からいなくなって。
顔を見ただけでイラつく。
「大ありだね。香澄は俺の女になるんだから。」
「ならないって言ってるでしょうが!もう限界なの!あんたに追い回されるのも、ちょっかい出されるのも、全部!いい加減放っておいてよ!!」
あんたには、いるでしょ?
私なんかに構ってなくても、近寄ってくる女の子たちが。
だったらもう、私の目の前に現れないで。
私は、そんな男関係に詳しくないから。
小さなことで悩んでしまうから。
信じて騙されるくらいなら、信じない方がマシ。
もしそれで、このまま一生彼氏ができないのならそれでいいから。
だから、もう私のことはほっといて。
「そんな俺が嫌いか?」
「.......当たり前でしょ。」
「なんで?」
「女遊びが激しいから。私に本気とか言っておきながら、違う女とキスできるような軽い男、私は嫌い。からかうならもう関わらないで。女遊びは他でやって。私はあんたに構ってるほど暇じゃない。」
そう本人に言いながらも、少し胸が痛い理由はなんとなく分かってしまう。
だけど、気付かないふりをした。
そうでもしなきゃ、また惑わされてしまうから。
このまま前に進めないと思ったから。
自分の心が壊れてしまう前に、私は梓と距離を取らなきゃならないんだ。
「そこまで言うのに、そんなに寂しそうな顔してんのはなんで?」
「してない。」
「俺のこと、甘く見ないほうがいいよ?」
「お願いだから.......これ以上、何も言わないで........」

