お世辞だってわかってるけどね!?
言われなれないからさ、どう反応したらいいかわからない。
寝顔なんて無防備な姿を見せてしまって後悔。
だけど、今までだったら意地でも起きてられただろうに。
なんで、我慢出来ず寝ちゃったんだろう。
まあ、男友達の前では普通に爆睡したこともあるけど。
そういうところが女子力に欠けるんだろうな。
あっという間に最寄りのバス停について、バスを降りた。
そして何食わぬ顔で私の手を握る梓。
この男はまったく.......
心の中では呆れるも、特に振り払わなかった。
また嫌味でも言われるのかと思えば、
「なんか、香澄の手握ってると落ち着く。」
なんて、真顔で言うもんだからうつむく。
なんだその意見は。
意味わかんないし。
だけどもっと分かんないのは、ドキドキしてる自分。
「今日は、付き合ってくれてありがとな。」
「ありがとう、って、勝負に負けたの私だし。」
本当は私だって行きたくなかったけど。
約束は約束。
ちゃんと守らなきゃいけないじゃない?
「でも、無理やりだったし。ぶっちゃけ、待ち合わせ場所に香澄がいなくてもおかしくないと思ってた。」
そんなこと思ってたんだ。
てっきり、私がくると思ってたんだと。
「だから、来てくれたからには楽しんでもらわなきゃって、思った。
だけど俺、誰かのために楽しんでもらいたいって考えたことなかったから、実際楽しかったかはわかんねーけどな。」
はは、と力なく笑った梓。
「........よ........」
「ん?」
「楽しかった、よ.........とても。」

