そんな自分勝手な発言があるか!!
どうしてよりによって私なのよ!
「本当は、このまま無理矢理でもこの可愛い唇、奪ってもいいんだけど......」
ツーっと私の下唇を親指でなぞる。
背筋がピンと伸びたのがわかる。
「まだ、おあずけ。」
いや、待ってねーし。
なんで私がキスして欲しいけど、我慢してね?みたいなニュアンスなわけ?
あんたとキスなんて、絶対にしたくないわ!
「まあ、してほしかったら遠慮なく言ってくれ!喜んで、香澄のファーストキス、奪ってやるから。」
変に“ファーストキス”を強調されて、ムカッとくる。
どうせ私はキスのひとつすらしたことないですよーだっ!
あんたみたいに、挨拶代わりでキスなんてしてませんから!
そんなこんなで、観覧車は一番下までやってきた。
とんだ空中旅だったな。
こんなことになるなら、意地でも観覧車なんて乗らなきゃよかった。
「さ、今度こそ帰るか。」
と、当たり前のように私の手を握る。
振り払ってもいいのだけど、もうそれすら面倒だ。
大人しくしてれば何も言われないし、いいか。
なんて思っていたのも束の間。
「妙におとなしいじゃん?俺様に惚れたか?」
ついには、自分に“様”なんてつける始末。
もはや、私の手には負えません。
「はいはい、そうですね~。」
こういう時は、軽く流しておくのが一番だ。

