あんたの気持ちなんて、これっぽっちも理解できない。
あんたが考えてることも、思ってることも、私にはさっぱりわからない。
「じゃあ、分からせてやるよ。」
そう言うと、向かいに座ってた梓が私の隣にやってきた。
あいつが隣りきやってきた瞬間、飛び跳ねるかのように早くなる心臓。
「俺の方、見て。」
おねがいだから。
そんな色っぽい目で見つめないで。
耳の奥でこだまするあいつの甘い声。
梓の瞳から、目が離せない。
「確かに、今までの俺の行いが悪かった。だから香澄に分かってもらえないのだって自分のせいだってわかってる。」
椅子に置いていた私の手を、上からあいつの手が覆うようにかぶさる。
そこから伝わってくるあいつの熱。
ドキ、ドキと、胸が忙しく動く。
「でも俺は、今、お前しか見えない。」
目で、本気なのを訴える。
ずっと、心のどこかで思ってた。
いつか、私になんて飽きてどこかにいく。
また、ほかの女に乗り換える。
恋の仕方なんてわからない私。
誰かに思われたことだってなかった。
だからずっと、思ってた。
本気にならないで、と。
今まで私に言ってきた言葉。
すべて、嘘であってほしいと。
ほかの女達と一緒でよかった。
いつか捨てられるような立場でいたかった。
なのに。
もう、戻れない。
「今日だって、香澄とふたりになれて本当に嬉しかった。」
そうやって、私の心をかき乱す。
だけどそれはもう、女を落とすための計画とか、企みとかそんなものじゃなくて。
梓の心からの気持ち。
「俺の、隣にいてほしい。」
そう言って、ゆっくりと近づいてくる。
私のことをしっかり見つめて。
強く手を握って。

