いちいち突っ込んでてもラチあかないわ!
こんなヤツと手を繋いだだけで、顔を熱くてる自分に腹が立つ。
「手、ちいせーな。」
「それ嫌味!?」
私は女子の中では大きい方で、女の子らしくない自分が少し嫌いだった時期もあった。
そんな私に対して、手小さいなんて言うなんて、嫌味としか思えないわ!
「んなわけねーだろ。平均的には大きいかもしれないけど、俺からしたら小さい。」
「ほら、な。」と、自分と私の手を合わせて手比べをする梓。
私よりも大きい手。
ゴツゴツしてて、男らしい手だ。
なぜか、こんな行動にドキッと胸が高鳴った。
「お前もちゃんと、女なんだから自信持てよ。な?」
そう言って、頭をポンポンと軽く叩かれる。
なんでいつも、不意に優しくなるの?
なんで急に、なんにも言えなくなるようなこと言うのよ。
いつも嫌味ばっかりで、自分勝手なのに。
そうやって不意打ちに、ドキッとすることを言うんだ。
今までは何ともなかったのに。
ほかの女の子にも同じような事言ってるのか、と考えたらモヤっとする自分が嫌で。
別に私には関係ないのに。
どうでもいいはずなのに。
そう思えなくなってきてる。
私の気持ちをかき乱すのはもうやめてよ。
後戻りできなくなる前に。
「今日、どこ行くの?」
そういえば、何も聞かされてなかった。
ただ、待ち合わせ場所を設定されてついてきてるけど。
行先は決まってるのかな?
「んー?遊園地。」
「遊園地?」
「そ。」
と言って、あるバスに乗り込んだ。
そこからバスに揺られかれこれ30分。

