【完】恋なんてするものか!






ふんっ!と、顔を背ける。





なんでこんなヤツとふたりきりで街中歩かなきゃいけないわけ!?






さっきからチラチラチラチラ、女子の目線に嫌気がさすんですけど。







振り向きざまにヒソヒソ「かっこいい」なーんてキャッキャいいながらさ。






それを満更でもなく、「俺モテモテだわ」なんて調子乗ってるやつの隣を歩きたいやつなんているわけ!?






所詮人間は外見だけよければ十分なのよね。






「さ、デートするぞ!」






「買い出し!てか、この手は何よ。」





ニコニコと笑いながら、私の右手を握りしめた梓。






なんで手を繋いでるわけ!?






「迷子になったら困るからな!と言うのは、口実だけどな。」






ハハッ!と冗談交じりに笑う。






「だったら何よ!離しなさいよ!」







「無理。香澄と手繋いで歩きたいから。」






わ、わがまま言うなーーーっ!!







付き合ってもないのに手を繋ぐとか考えられないから!





有り得ないから!





手繋いじゃったら、そういう関係だって思われるじゃん!完璧に!






「離せ!」






「嫌だね。何があっても離さねぇよ。」






くっそ!





こういう時、変に頑固だから嫌なんだ。






恥ずかしいから、うつむき加減で歩き始める。






「顔上げねぇと、危ねーよ?」






「恥ずかしくてそれどころじゃない。」






「ふーん。照れてんだ。」





もう、なんとでも言え!