誰もがボールにしがみついて、取りに行った。





そして相手からのチャンスボール。





レシーブをして、トスが上がる。






そしてそのトスは、前衛にいた私に綺麗な弧を描いて向かってくる。






きた......っ!!






「「香澄~~っ!決めろ~~っ!!」」






ギャラリーから耳に届いた、ふたりの声。






───ピーーーーーッ!






や......った.......






「きゃーーーっ!優勝だ!」





「やったあああ!!」





見事、優勝を飾った。




みんなと抱き合って喜んだ。





ギャラリーでクラスメートたちも抱き合いながら喜んでいて。





「さすが、私の香澄!」





「よくやったな、かっこよかった。」






ふたりの声に、自然と笑みがこぼれた。





まさか、優勝するなんて想像もしてなかった。





別に、優勝しようがしまいが特にこだわりはなかった。






だけど、勝ったら勝ったで、達成感とか喜びとか、心から湧き上がってきた。






こうして、学園最初の大行事球技大会が終わりを告げた。






バレー、バスケ、テニス、3競技で優勝を飾った私たちのクラスは、総合優勝も頂いた。





学園が用意するには豪華すぎるくらいのトロフィーをもらい、クラス全員で写真を撮った。






「なんだかんだ楽しかったね~。」





「そうだね~!!」





ホームルームが終わり、美華と今日を振り返る。






優勝に気を取られて、忘れていた。





大切なこと。





「ま、決勝戦には勝てたけど俺には負けてること、忘れたとは言わせねーよ?」





私と美華の会話に割り込んできた奴。






ああ。梓もバスケで優勝したことでそんなこと忘れ去ってくれたら良かったのに。






「デート、楽しんできてね♡」





「デートじゃない!買い出し!」





「楽しもうな、デート♡」





と、私の方に手を回した梓。





まだまだ波乱な夏が続きそうです。