P.S 母さん、愛しています。

『可愛くなった?』

『同じ高校?』

『モテる?』



「……誘導尋問か?」


バカげたLINEの文字に呟く。

昼休みに確認したら、あの愚か者は意外にも多くの言葉を流してた。


『また手紙もらった!』

『この間と同じファンの子から!』


「……だから、それ俺だって」


いい加減気づけよ。

つーか、いちいち報告してくんな!


『手紙読んで』

『小さい頃のこと思い出した』

『よく一緒に登校してたね』


「……今でもしてるよ」


習慣みたいなもんでさ。


『陽希がよく泣かしてた』


「違うよ!あいつがどーでもいいことで泣いてたんだ!」


文字に声を返す。

どちらも一方通行なことには変わらねぇ。


『知るか!アホ!黙れ!』


悪態しかつかない俺は、その辺のゴロツキよりも価値がねぇ。


(でも、いいんだよ。これで)


向こうが流してくるのは近況報告。

生きてるか死んでるかを伝えてくるだけのもの。

それにいちいち付き合って青春時代をムダにしたくねぇ。



「もう書かねーから聞くなよ!」


「…何を?」


ドッキーーーン!!


「り……」


(……莉央じゃねぇ)


振り向くといつもそこにいるのは莉央。

俺の生活パターンの中で、それは一つだけ確かなものだった。


でも、ーーーー


「あ…浅香(あさか)さん……」


クラス代表も務めてた秀才の子が目の前にいる。