「あいつ城井 仁奈(しろい にな)。 ほら、有名じゃん。いつも寝てて、なかなか起きないって」 悠希が耳打ちしてきた。 ふーん。 「てか、悠希、人を椅子から突き落とすんじゃねーよ」 「だってそうでもしないと起きないっしょー? ねえ、城井さん?」 返事はなかった。 彼女は、今度は本当の自分の席で、もう寝ていた。 髪の毛の分け目から見えるその寝顔に 見とれてしまった。 は?なにしてんの俺。