最新刊を手に取ると、

仁奈は慣れた手つきで表紙を開き、

ペンですらすらとサインを書いた。




ちょっと待て…

これは、こういうことだよな?


――仁奈は、漫画家。










今、あの本屋と同じ建物の中にあるカフェで

俺はアイスティーを飲んでいる…

悠希と仁奈と。




「仁奈ちゃん、漫画家だったってこと~?」

悠希のフラペチーノはすでに空っぽになっていたのに

ストローをくわえてながら話していた。

「ナナ・ホワイトって、ペンネームだよね?」


「うん…。二人とも隠しててごめんね。
このことは誰にも言わないで」