「光くん、もう離して。
私、今から行くところが…」
「どこ?」
またどこかに行くのかよ。
「悠希くん達の部屋」
俺の恐れていた言葉。
「私に渡すものがあるんだって。
そう言えば、光くんもだよね?」
仁奈の言葉はよく聞こえなかった。
俺の頭の中は悠希のことでいっぱいで…
「先生から預かった物って何だったの?」
仁奈は俺の顔をのぞきこむ。
「行くなよ、絶対」
「へ?」
「悠希のとこ、絶対行くなって」
「なんでー?」
仁奈は分かってない。
悠希の考えてること。
悠希達の部屋じゃねーよ。
今日は悠希の部屋だろ。