俺は急いで振り返る。


「あ、光くんだ」


スマホを片手に階段を上がって来たのは…





「仁奈……」

仁奈を見た瞬間、俺の体は

勝手に動いていた。








どこにいたんだよ、仁奈!!



俺は力いっぱい仁奈を抱き締めた。


「えっ…光くん…くるし…」


「心配した」

力を少し緩め、

仁奈の耳元でそう言った。




「え!?ごめんなさい…外で電話してて…」

「誰と?」

「えっと…バイトの…人」

「お前、バイトなんかしてた?」

「う、うん…」


なんか、怪しいけど、俺はそれ以上

問い詰めなかった。

電話の相手より、仁奈が見つかったことの方が

俺には大切だったから。