寝ているカノジョ



「大橋、瀬野に任せろよ。
こっからバスの駐車場まで結構遠いし、
迷った方が城井にも良くないし」

岡野が引き下がらない悠希を制した。


岡野の言葉で、悠希の手が仁奈から離れる。


「わかったよ」


悠希は岡野にそう返事して

俺の耳元ではこうささやいた。


「今回だけ譲ってやる」








仁奈の小さな寝息を聞きながら、

俺はバス駐車場へやってきた。

担任が言った通り、小さな休憩所がある。

俺はその中の長椅子に、そっと仁奈を寝かせた。



ここに来るまで、

仁奈をおぶって路線バスに乗る俺を

他の人たちはチラチラ見ていた。

でも、恥ずかしさより、嬉しさの方が大きかった。




仁奈が俺の背中で寝ている…。




ときどき寝言を言ってたから、

倒れたこと心配しなくても大丈夫かな。