「大橋、瀬野に任せろよ。
こっからバスの駐車場まで結構遠いし、
迷った方が城井にも良くないし」
岡野が引き下がらない悠希を制した。
岡野の言葉で、悠希の手が仁奈から離れる。
「わかったよ」
悠希は岡野にそう返事して
俺の耳元ではこうささやいた。
「今回だけ譲ってやる」
*
仁奈の小さな寝息を聞きながら、
俺はバス駐車場へやってきた。
担任が言った通り、小さな休憩所がある。
俺はその中の長椅子に、そっと仁奈を寝かせた。
ここに来るまで、
仁奈をおぶって路線バスに乗る俺を
他の人たちはチラチラ見ていた。
でも、恥ずかしさより、嬉しさの方が大きかった。
仁奈が俺の背中で寝ている…。
ときどき寝言を言ってたから、
倒れたこと心配しなくても大丈夫かな。
