寝ているカノジョ



バスに乗り込むと、すぐ目に入ったのは

仁奈だった。


他に誰もいない。もちろん、悠希も。




チャンスだ。




「おはよう」

仁奈は、鞄の中をガサガサしていたが、

俺の声を聞いて、すぐに手を止めた。


「おはよ…光くん…」


俺を見上げた仁奈の顔は

やっぱり普通じゃない。


俺は仁奈が座ってる席の横にしゃがんで

仁奈と目線を合わせた。


「仁奈、お前、大丈夫か?顔色悪いぞ」

「光くん…私、寝たいんだけど、みんなが…」

仁奈は俺のことをうつろな目で見つめる。

「みんなのこと気にすんな。寝て」

俺がそういうと、仁奈は前を向いて、目を閉じた。

俺はその横顔に見入った。


今…キス……したい…