「やめた?」
「うん」
「どうして?」
「優勝したから」
「そっか」
夏子は、それ以上聞かなかった。
僕がそうしたかったなら、それでいいんじゃないか、と思う反面、何故それを伝えたのかも気になっているはずだった。
でも、もういいらしい。
「その」
「何、テイ」
「今日、どこ行こっか」
「うーん、ケーキでも食べる?」
「今食べてるけど」
「あっ、そっか、そうだよね」
そんなミスは、今まで夏子はしなかった。
明らかに動揺しているんだ。
僕のせいだ。
僕が決めたのに、僕が決めないから。
もう夏子は。
「夏子」
「はーい」
「別れよう」
「あ、それ面白いかも」
「本気で」
「長い長い」
「本気で」
「......」
レシートを取り、会計する。
我ながらよく、この幼稚な僕に付き合ってくれたなぁと、感心する。
それから家までは、一度も振り返らなかった。
家へ着き、久しぶりに読書をする。
字が多すぎて何度か目が痛くなったが、暇つぶしにはなった。
スマホの着信。
「もしもし」
「っはぁ、はぁ....」
「あのー、もしもし?」
「ぅー、湯浅?」
「なんだ、夏子か、どうしたの?」
「今家?」
「家だよ」
「じゃあ
ドア、開けてくれるかな?」
