「行ってらっしゃい!気を付けてね。」
「うん、行ってくる!なに、万由もう涙目じゃん。」
わたしの顔を覗きこんでクスクスと笑う。今日から遠距離恋愛が始まるというのに能天気に笑っている将くんに怒りを
感じつつも、寂しさに涙が溢れる。
「福岡から東京は飛行機ですぐだよ。」
「でも寂しいよ。なんで将くんはそんなに笑ってられるの。」
笑っていた顔が真剣な顔に変わり将くんの
温かい手が頬を包む。
「聞いて万由。俺が東京の大学で勉強して学校の先生になりたいって言ったとき、本当は反対されるんじゃないかって思ってた。」
「うん…。」
「でも万由はこうやって送り出してくれる。万由に出会えてよかった。万由が彼女で本当によかったって思う。」
「わたしも将くんが彼氏でよかった。」
「4年後必ず帰ってきて夢叶えたら、万由と一緒になりたい。」
「ほんとに…?」
将くんはにかっとはにかむと私の頬を両方から引っ張った。
「だーかーら。浮気せずに待ってろよ。」
「ふぁい…。」