「……来た」

正面出入り口から出てきた、制服姿の深町。

立ち上がるあたしは、オリンピックの陸上選手になった気分で走り出す。

ううん、これは障害物競争だわ。

自転車のそばで立ち止まる深町に近づき、真横から眼鏡を取り上げる。

無理やり剥がし取るようにしたせいか、深町は耳を痛そうにしていた。

「へっへぇんだ! これがないと困るでしょ?」

ゲラゲラ笑うあたしは、急いでその場から逃げる。

練った作戦が通じないなら、直球勝負よ!!