ティアラ

視界に映った彼は、なぜか口を開けたまま、あ然としていた。

「どうしたの?」

何か変なものでも見つけたのかなと考えながら、同じ方向を見る。

向こうのホームには、不自然なものは何もなかった。

普通にひと組のカップルがいて、あたしたちみたいにベンチに座りながら、仲良く話しているだけ。

なのに、彼は突然、険しい表情で立ち上がる。

「ちょっと、どうしたのよ!?」

驚いたあたしは、走り出した彼に声をかけた。