ティアラ

地元の駅で直子と別れたあたしは、見慣れた街並みをぼんやり眺めて歩いていた。

小さな商店街をはじめ、おじいさんやおばあさんが営む店は、ただ開いているというだけで栄えている感じはしない。

たこ焼き屋のおじさんは、椅子に座ってTVを見ている。

いつ焼いたのかわからないたこ焼きを、鉄板の上で温めながら。

これと言って町おこしみたいな祭りもない地元は、静かな町。

いつもなら、こんな地味な風景など目に入らない。

だけど、今日は一軒一軒、店を眺めていて、目に映るその光景が妙に心地よく思えている。

それはきっと、あたしが複雑な気持ちを抱えているからだ。