ティアラ

「もしかしたら……」と薄々感づいてはいたけれど、直子はそんな素振りを見せてこないし、「気のせいなのかな」と思うこともあった。

だけど、今、確信した。

直子は自分の気持ちより、太一の想いを優先して考えている。

「まさか! どうして、あたしが……」

動揺した自分を隠そうと、彼女は明るく振る舞い始める。

「……好きなら、自分の手で太一のことを幸せにするべきだよ」

お人好しな考え方は好きじゃない。

TVドラマや少女マンガで、たまに主人公が言う台詞。

“好きな人が幸せならそれでいい”

気持ちを伝えることもせず、相手の幸せを願う姿。

そういうところを「健気だ」とか「切ない」って言う人もいるけれど、あたしはそんなふうに考えるのは「卑怯だ」と思ってしまう。

だって、それは逃げてるだけじゃない。