ティアラ

「はい、飲み物」

鼻を近づけるだけで唐辛子の匂いがするから、拒んできたら無理やりでも飲ませようと考えていた。

だけど、深町は素直にそれを受け取り、水筒の蓋に口をつけていく。

彼は少しためらいながらも、そのトマトジュースを黙って飲み干す。

目をギュッと閉じて、辛さをこらえているような、苦しそうな表情。

ニヤニヤしているあたしは、彼が怒る姿を早く見たかった。

けれど、彼は一向に表情を変えない。

そして、落ち着いた口調でこう言ってきたの。

「気が済んだ?」