ティアラ

ペラペラ喋り過ぎているのかもしれない。

だけど、あんな顔をされるなんて思わなかったから……。

もしかしたら、「俺に惚れてるのか」って思われてるのかもしれない。

……ほ、惚れてなんかいないわよ!!

あたしはただ、作戦として差し入れをしているの。

こんなやつを、本気で好きになってるわけじゃない。

好きそうな態度をしなきゃ食べてもらえないから、こういう態度をとってるの。

そう、これは作戦よ。

き、嫌いなものもたくさん聞いてるんだから!!

その証拠に、バスケットの中には深町が嫌がるものが入っている。

見た目は、普通のハムサンド。

だけど、そのパンとハムの間にあるマヨネーズの中には、あんたが嫌いなキュウリやカボチャを細かく刻んだものが、たっくさん入ってるんだよ。

ただの差し入れだと思わせるために、にっこりほほ笑むあたし。

だけど、あたしがうつむいている間に彼は気分を損ねていたようで、そこにある表情は妙なほどに険しかった。

「どうしたの?」って聞いているのに、彼は何も答えずプイッと向こうをむいて、側から離れていく。

あたしを無視したまま、再び、彼は子供たちにサッカーを教えている。


数時間後、空は鮮やかなオレンジ色に変わっていた。