ティアラ

お湯の中から両手を出して、髪の毛をまとめているダッカールに、濡れた遅れ毛を挟んでいく。

思い出したのは、久しぶりに見た直子の泣き顔。

……あの涙を目にしたとき、あたしはあることに気がついた。

奇妙に感じていた彼女の態度が全部、1本の線で繋がった瞬間。

ねぇ、どうして泣いたの?

これは、あたしと太一の問題じゃない。

なんで、そこまで必死になってるの?

出会ったときも同じ、過ごした時間もさほど変わらないのに、直子だけが太一の気持ちに気づいていた。

……直子、いつからその想いを抱えていたの?