ティアラ

ツンとした顔で胸を張っていると、直子は小さな声で「あたしはそこまで守るつもりはないけど……」とつぶやいていた。

「え、キスもまだなの?」としつこい太一に蹴りを入れて、あたしは落ち込んでいた気持ちを吹き飛ばす。

弥生ちゃんに先を越されたような気がして、復讐のことばかり考えていた自分がむなしくなったけど、あたしは決して負けているわけじゃない。

「よし、次の作戦はどれにするか考えよーっと」

気を取り直したあたしは、鞄の中からメモ帳を取り出して、にこにこ微笑む。

「まだ何かやるつもり?」

廊下を歩きながら、開いたメモ帳の中を覗き込んでくる直子。

「これ、昨日の夜、寝る前に考えてた作戦」

次から次へとアイディアが浮かんできて、昨日の夜、あたしはすごく興奮していた。

「なんだ、これ。絵の具タオル? 自転車モカうんち?」

直子と一緒にメモを見ていた太一が、首をかしげている。