だがまだクライマックスを迎えていないし今から怖くなるのが羽月も分かっているからなのか、羽月は私の体を引っ張り、自分の足の間に私を座らせて後からギュッと抱きしめた。


羽月は私が怖いだろうと思って後ろから抱きしめてくれたんだろうけど、羽月は私の肩に顎をのせてギュッと抱きしめてるから顔が少しくっついてるし何だかドキドキしちゃって怖さが一気になくなった。


怖さよりも顔がくっついてる方に意識してしまってそれからは怖い場面を見ても体がビクッとなる事はクライマックスを迎えるまでなかった。


終った後、羽月は私を後から抱きしめたまま私の耳元で言った。


「ホラーを俺が借りる時に嫌がらなかったから大丈夫かと思ったけど怖かったよな?俺が見たかったから付きあわせてごめんな?」


「だ、大丈夫だよ。苦手じゃないんだけど前に映画館でこの作品のシリーズ見たんだけど夢に女の人が出てきて怖かったんだ。
だから女の人の顔に反応しちゃって…」


「じゃあ今から寝たらまた夢に出ちゃうかもしれないから怖いなら一緒に寝るか?」


羽月は冗談じゃなく本気で言っている。


「子供じゃないんだし大丈夫だよ!さっ、歯磨きして寝ようかな。」


そう言って立ち上がった私は先に歯磨きをして羽月に"オヤスミ"と言った後に自分の部屋のベッドに横になった。


それにしても急に後から抱き締められてビックリしたな。


まぁそのおかげで怖さが無くなったけどね。


そんな事を思いながら私は目を閉じるといつの間にか眠りに就いていた。