私がソファーで寛いでビールを飲んでいると、お風呂から上がった羽月がリビングにやって来た。


冷蔵庫から缶ビールを取り出してソファーに座り、ビールを口にすると"風呂上がりのビールは最高だな"と言った。


それから二人で借りて来たDVDを順番に見て行って二本立て続けに見た。


二本目を見終えた頃には日付も変わっていたが、残りの一本はホラーだった。


ホラーは苦手ではないけどこんな時間だしあまり見たくないと思った。


だけど羽月は楽しみだったのか始まった途端に電気の明かりを常夜灯だけにした。


一人で見ている訳ではないし羽月が居るから怖くないと自分に言い聞かせて私はテレビの画面に集中した。


序盤から怖いわけではないし物語が進んできた中盤に差し掛かるとドキッとする場面もあり、あの夢に出てきた女の人の姿が急に現れてビックリしたと同時に体もビクッとなってしまい私は膝を抱えた。


そんな私を羽月見て、私が怖いと思っている事に気づいたのか羽月は私の肩をそっと抱き寄せた。


その瞬間にテレビの画面に女の人の顔がドアップになり、更に私の体はビクッとした。


だってテレビ画面には女の人の顔が沢山で、主人公の女性の部屋を取り囲んでいたからだ。


あの顔に沢山取り囲まれたら怖くて意識を失うかもしれない。


作り物だと分かっていても怖い。