「さっきの人は会社の先輩で、菜々子の家から帰る途中にたまたま会って一緒に飲んで送ってもらっただけだし、それに抱き締められてようが、頬にキスをされようが羽月には関係ないでしょ?」
するとベッドに倒れこんだ私の体の上に羽月は跨った。
「関係なくねぇよ!言ったろ、優子が好きだって!あいつの事が好きなのかよ…」
怒鳴ったかと思えば凄く切ない表情で羽月は言った。
それに私は白崎先輩の事は好きじゃない。
バイであろうがそうでなかろうが好きなきもちもないし、会社の優しい先輩の一人だ。
だけどこれはいい機会かもしれない。
「うん…好きだよ。」
私は羽月にそう言った。
すると羽月は気が抜けたように私の上から退くと何も言わずに自分の部屋に戻って行った。
これで良かったのかもしれない。
羽月とはやっぱり昔みたいな関係が一番だ。
日菜子や菜々子は羽月を男としてみてあげなよとは言ったけど、やっぱり私には昔の関係の居心地の良さを選んだ。

